交渉術として使われるNLPテクニック
先日NHKの歴史番組「知恵泉」を見ました。
このとき取り上げられていた人物は小西行長。豊臣秀吉と文禄、慶長の役での中国・明との間で和平交渉に当たった戦国武将です。
ゲストは、島田久仁彦さん。
島田久仁彦さんは、1998年より国連の紛争調停官としてコソボ、東ティモール、イラクなどの紛争解決に従事していた人です。2005年に日本政府に任用され、環境省国際調整官として日本政府代表団の地球温暖化交渉時にリード交渉官と交渉議題の議長を歴任しています。
まさに国際交渉の修羅場をくぐってきた人です。
この島田久仁彦さんが小西行長の交渉術についてコメントするという番組内容でした。
番組の中で島田さんが重要な交渉テクニックのひとつを紹介してくれました。
それは、「相手に話をさせて、話の内容を少しずつ区切りながら確認するようにオウム返しをする。その作業を繰り返しながら『相手が絶対に譲らないこと』『融通がきくこと』を見極めていく」というものでした。
オウム返しをすると、当然ながら相手はそれに対して「イエス」しか言いません。もともと自分が述べた内容を繰り返されているだけですから否定しようがないのです。
またオウム返しの効果としては、
・相手にこちら側の強い賛成や同意を伝えることができる
・相手が感情的な人の場合には、思考を促すことができる
・相手が理屈の多い人の場合には、裏に潜む感情を意識させることができる
などが期待できます。
このオウム返しは、コミュニケーションやカウンセリングのテクニックとしては「反復」「繰り返し」と呼ばれるものです。
難しいものではなく、むしろ基本テクニックです。
コミュニケーションやカウンセリングの講座を受講すれば、第1日目に習うようなテクニックです。
国益をかけた国際交渉の場で活躍されている島田さんのことですから、よほど高度なテクニックを紹介されるかと予想していましたが、「オウム返し」を紹介されたので少し拍子抜けな感じがしました。
しかし国際交渉の場であっても、「オウム返し」などの基本テクニックの組み合わせで交渉が進むということが相当程度あるのではないかとも考えられました。
(もちろん、ときには一般人は知らないような高度なテクニックも使われていると思います)
そうであるならば、交渉の腕を上げたいなら、
・まずコミュニケーションやカウンセリングの講座を受講して基本テクニックを学ぶ
・仕事・生活の中で基本的クニックを使い込む(自在に使えるようにする)
ということが重要になってくると思います。
NLPではオウム返しのことを「バックトラッキング」と言います。
ただし、バックトラッキングはオウム返しと全く同じではありません。それ以上のものがあります。オウム返し(相手の言葉を繰り返すこと)も含みますが、相手が脳の中で感じているイメージ(脳の中で見ている映像、聞いている音、感じている体感覚)まで言葉にして繰り返していきます。
このあたりもNLPのテクニックが優れているところです。
またNLPでは、バックトラッキング以外にもコミュニケーションやカウンセリングで使えるテクニックを数多く学ぶことができます。
(上の画像はNHK「知恵泉」のウェブサイトから引用しました)